ニーハオ!台湾高雄出身のジンです。
台北からおよそ300kmの「台南」は、台湾で最も歴史の長い都市で、オランダ〜清朝統治時代には首都が置かれていました。長らく台湾の政治や文化の中心地として機能したこの古都は、日本における京都のような存在。
昔ながらの町並み、古跡や古廟(こびょう)が多く残り、お洒落スポットの中に歴史の文化が残る、魅力のある街なんです。今回は皆さんに、台南の人気グルメと定番スポットをご紹介しますね!
レトロな雰囲気あふれる台南市はこんなところ
台北からはおよそ300km。台湾高速鉄道(略して高鉄)で約2時間で行けます。
17世紀にオランダが統治の拠点として開いた街です。古い廟や歴史的建造物が残されていますが、古い家屋をリノベーションしたカフェや民宿も多く、ノスタルジックな雰囲気が漂っています。
また台南の魅力のひとつに、街並みと共に独自に発展してきた「台南グルメ」があります。台湾の中でも特においしい料理がたくさんあり、台湾ローカルの人達だけでなく海外からの観光客にも人気なんです!
台湾公認の食の都・台南の絶品グルメ
台南は手頃な値段で食べられる軽食、小吃(シャオチー)の発祥地。
台南で美味しい料理を食べるために、わざわざ足を運ぶ人もたくさんいます。創業50年以上の老舗がいくつもありますが、同じメニューでもお店によって味が違い、一品が小さな碗や皿で提供されるので、次から次へとお店を回るのが台南小吃の楽しみ方です。
1.牛肉湯(牛肉スープ、ニョウロウタン)
台南グルメの定番牛肉湯は、生の牛肉に牛の骨や肉でダシをとった熱々のスープをかけて食べる料理。台南は牛肉の名産地で、新鮮な牛肉が手に入りやすい為、牛肉湯のお店がたくさんあります。他の街では味わうことのできない、台南の代表的な小吃です。
2.担仔麵(タンツーめん、ダンザイミェン)
海老からだしを取ったあっさりしたスープに、ニンニクと肉そぼろをのせた麺料理。多くの担仔麺は一杯の大きさが日本のラーメンのハーフサイズ程度で、小ぶりな茶碗で振舞われるのが特徴です。少ない量でさらりとした味わいのため、軽食や夜食としても人気があります。
僕がおすすめするのは、清朝末期に創業した担仔麺発祥の老舗で、台南を代表する担仔麵が食べられる「度小月」。スープと豚そぼろのコクが絶妙な具合にマッチしていて、何杯でも食べたくなってしまう絶品グルメです!
僕はいつも2~3杯は食べたい気持ちを押さえて、別の小吃を食べに出かけます。
3.鱔魚意麵(シャンユーイーミェン、田ウナギのあんかけ焼きそば)
台湾をはじめとして、東南アジアや中国などでよく食べられている魚「鱔魚(タウナギ)」を黒酢ベースの甘めの味付けで強火でサッと炒めて、意麵(台南特有低温で揚げた麺)と合わせた味が絶妙でシンプルな料理。
赤崁樓(チーカンロウ)近くの「八三意麵」が僕の大好きなお店です。タウナギはウナギほど脂や味がありませんが、プリプリッと歯ごたえのある食感は噛めば噛む程美味しく、甘酸っぱいタレの絡んだ麺が最高に美味しいんですよ。
4.芒果雪花冰(マンゴーかき氷)
マンゴーと言えば台南!と言われる程、台南はマンゴーの産地として有名です。台湾では親しみを込めて台南を「マンゴーの故郷」と呼んでいます。台南の愛文(あいうん)マンゴーは、大きくて甘さと酸味が絶妙で、濃厚なマンゴーの香りを楽しめるのが特徴です。日本では高くてなかなか買えないマンゴーでも、台湾では品質が良いマンゴーを安く買えるんですよ。(2022年11月現在、1個約500gで約780円)
マンゴーの収穫時期には、市内のマンゴーかき氷屋さんが大盛況。
一般的なかき氷だけではなく、果汁が入った氷を削るふわふわなかき氷「雪花冰」も販売されています。台南の中でもマンゴーの一大産地である「玉井」では、「有間冰舖」というかき氷屋さんが人気です。マンゴーをたっぷり使ったボリューム満点の美味しいかき氷が食べられますよ!
これらのマンゴーかき氷は、夏限定で販売されていますので、夏に台南に行った時はぜひ味わってみてくださいね!
5.土魠魚羹(サワラ揚げのあんかけスープ)
鰆(サワラ)は台湾では「土魠魚」と表記され、台湾市場ではよく見られる魚の一つです。カツオ節、塩、砂糖などを使用して作られた甘酸っぱくてとろみのある土魠魚羹のスープは、サクサクの鰆フライに絡むと絶品なんですよ!
6.文旦(ブンタン)
台南は、文旦の栽培面積と生産量が台湾一で、甘くてみずみずしい果肉が特徴のおいしい文旦を生産する名産地。台湾では文旦のことを柚子と言ったりもするので、台湾人が柚子と聞いてイメージするのはこの文旦です。
中秋節の風物詩の一つとして台湾では欠かせない果物で、文旦を食べたり、文旦の皮を頭に載せて遊んだりする習慣があります。30年位前から、バーベキューをしながら文旦や月餅のお菓子を食べて、中秋の名月を楽しむのが一般的な過ごし方です。
”台湾の始まりの地”とも言える台南市で古都散策!
台南市内各所には、訪れるべき歴史名所が点在し、さまざまな角度から歴史情緒を楽しむことができます。これから、僕が台南を旅行する時に外せない観光地を紹介していきます。
1.台南市の定番観光スポット「赤崁樓」(チーカンロウ、せきかんろう)
1653年オランダ統治時代に建てられた頃の名前は「普羅民庶城(プロヴィンティア城)」。当時の台湾人からは、オランダ人の赤毛をイメージして「紅毛城」「赤毛城」などと呼ばれていたそうです。オランダ軍を駆逐した鄭成功(ていせいこう)による鄭氏政権が始まると、名前は「赤崁樓(チーカンロウ)」に改められました。
現在は、建物内は展示室になっており、修復を主導した日本人の資料も残されています。
敷地内中央にある、清の時代に造られたという9枚の石碑を背負っているのは、亀ではなく龍の子ども「贔屓(ひいき)」。この石碑には、1786年の反乱事件を鎮圧する功績を残した人を称える文章が書かれています。
その他にも海神の庇護に感謝するために建てられた「海神廟」など見どころがたくさんあります。オランダ時代から現代まで様々な時代の痕跡を見ることができ、台湾の歴史と異国情緒を感じられるので、是非訪れてほしい魅力的なスポットです。
2. 日本の実業家が創立した「林百貨」(ハヤシ百貨店)
山口県出身の実業家、林方一さんが1932年に創立した南台湾初の百貨店。当時の台南では、唯一近代的エレベーターや手動式のシャッターを備えていた建物です。地元市民からは5階建てという意味の台湾語で「五棧樓仔(ゴーツァンラウアー)」の愛称で呼ばれました。
終戦後、空きビルの状態で長い間放置されてきましたが、2014年6月当時の面影を残しつつ、再びデパートとしてよみがえりました。買い物、食事を楽しめるだけでなく、第二次世界大戦の銃弾の傷跡、レトロなエレベーター等もある歴史的にも見どころがある貴重な建築物です。
屋上にあるのは、開業を待たずに亡くなった創立者、林方一さんの供養と店の発展を願って開業半年後の1933年5月に設置された稲荷神社。ご神体自体は終戦後に撤去されたので、今は神社の形だけが当時のまま展示されています。
3. 台湾最古の城、「安平古堡(アンピンクーバオ)」
1624年にオランダ人が軍事要塞(ようさい)の目的で作った「熱蘭遮城(ゼーランディア城)」。1662年に戦いに勝った鄭成功(ていせいこう)が城を取ると「安平城」と改称し、ここが政治と軍事の中心地になリました。台湾人からは「王城」または「台湾城」と呼ばれていましたが、戦後に当時の台湾政府が「安平古堡」と名付けて今に至ります。
これらは、1930年に日本統治時代に日本人が他所から運んで、観賞用として安平古堡に設置した大砲です。観賞用であっても迫力があります!
安平古堡は、赤崁樓と並んで台南の二大古跡であり、台湾初期の発展がわかる史跡です。ガジュマルに侵食された「城壁」などからも歴史を感じられますので、安平古堡に来たら、ぜひ見学してみてください。
4. 昼と夜違う顔を持つレトロな路地裏「神農街」(シェンノンジエ)
台南を代表する路地裏で、昔は運河が流れる貿易で栄えた商業エリアでしたが、一時は廃れていました。しかし、近年古民家をリノベーションしたオシャレスポットとして人気に。レトロな景色で歴史散歩や古民家カフェめぐりが楽しめる街として、現地の若者をはじめとした多くの人が足を運んでいます。
夜になると灯りが通りを照らし、石畳の通りが幻想的な雰囲気になるので、昼間とはひと味違った神農街も、ぜひ訪れて頂きたいです。
今回は、古都・台南の観光地やグルメについて紹介しました。
ぜひ、台南の路地裏と旧蹟を回り、たくさんの台南グルメを食べに行ってみてくださいね!
今後もふじそらトラベルでは台湾人の僕が、静岡の人が特に楽しめる台湾の観光地をピックアップしてご案内します。次回は、台湾第3の都市で僕の出身地、港町「高雄」について紹介する予定ですので、お楽しみに!
※2023年8月現在、静岡ー台湾便は運休しています。再開次第お知らせいたします。